カレーをこぼさぬよう段ボールに入れる。
直接ではない。
鍋に入っている。
それを段ボールに入れたのだ。

今日は仕事が休みであるから、
夕飯の担当を買って出た。
これはある一つの勇気であって
このブキッチョが粗相なくそんな大役を
果たせるものかという不安を
そ知らぬ顔ですり抜けて
ここへやってきたのである。

念のためビニールで包み、糸で固く締め
クッションに米袋を2つほど敷き
クラフト色の室内にギュッと銀の鍋が
収まるのを見届けた。

はたしてやや漏れて、
米袋を茶色く濡らしはしたのだが、
無事大概のルーも具材もそのまま
goodmorningfarmへ到着したのである。
カブの荷台にカレーである。
その荷解きもそこそこに
さあ今日は先回の続き、
宇和島でのイベントに向けた
制作を大詰めなければならないスケジュールである。

未だノーグルーの石達を
接着することであったり、
値段設定の妙であったり
パッケージングの沙汰であったり
ふつつか者の行き届かない始末を
万事仕上げるという最難関である。

イトはグルーミング。
ノんは自作の小石セットをまあ程よくパッケージする。
いい感じだ。
あのアカリア族はどこで出てきたのか、
ノんが作りはじめたネックレスは流木を
まるで小笛のように毛糸につなぐ。
青と緑を二重にかさねよった糸
それに倣うように、いくつか
ナツメらも貝に穴を空け、糸にさげる。
同様にある民族感が垂れ下がる風合いは
いつからかアカリア族の工芸品と呼ばれ
それはアフリカかどこかにあるらしかった。

強気の値付けは手放したくないという
愛着の表れであったり、
あるいは商いの勘であったかもしれない。
石もそれぞれに若干の差をつけて
ジャンルごとに何百円かを決めて、
ホワイトボードに書き込んでいった。

グルーに色を塗るという技法も生まれ、
ノんは貝の二輪挿しに小花を差し、
イトは小片に紫を塗る。

グルー道は何処に極まれりか
テーブルの向こうの畳の上で、
ナツメとテんがいそいそと新しい何かを工作している。
それが何かはわからない。

ノんのパッケージは透明袋に整然と並び
押し詰めの石は磁石で貼りつき、
ネックレスは下げられ
ホワイトボードが柱に立て掛けられる。

さあこれからと、数日の成果が
出荷出発を待つような量になり
カレーの出番である。

温め直していただきまして
鍋ごと持ってきた甲斐があります。
ラップ毎の炊き上がり飯を
チンしまして
個分けしまして
そう、そのピクルスを添えてもいいし。

がやがやと作業のあった余韻を
まとめるように毎度の夕食。
いただきます。