縁側には乾燥途中の小豆があり、
それを退けて、道をつくり
布団も退けて、木机を持ってきて
ストーブに残った去年の灯油に火を点ける。

30分ほど前に起きた頭で、
部屋を片付けながら話す。
寒くなったね。と
英語のプリントは変わらず
7、8割方やってあるのを
少し仕上げるような形で
長机を挟んで座る我々。

年度終わりの総まとめに差しかかった内容で
あれやこれやと思い出しながら
うっかり取りこぼすように
すっかり忘れている所を改める。

ポケモンを買った。その報せは
ある歴史の先端の興奮のように
発せられた。
ゲームボーイ、買ってはもらえなかったあの頃。
カードゲームを友達に混じって少しだけした。
ヒロトはここしばらく勿論
それ漬けのようで、
もうひとしきりやり切ってからの
仕上げに近い作業をSWITCHで行っていた。
卵をいくつも割る。という
途方もない作業、それは
生まれながらのよりよいステータスを求めて。
完全なMAXが示されてしまう訳だから
いつか偶然に来るその値を求める。
赤子を確認しては、次に移るという
何とも恐ろしい未来か何かを彷彿とさせる
携帯型ゲーム機。

昼は唐揚げを、揚げ物を
非常にライスに合う形でほおばる。
これひとつでお碗一杯はいけるだろうと
唐揚げの力を称賛しながら
英気を養う。

長机を弾くような仕草をするので
キーボードを紹介する。
上に積んである衣服をはがし
響くのは 海の見える街
知っているだろうか。
あのキキが海辺の街に出会った時に流れる唄
箒にのって海の上、斜面に広がる街並みへ向かう歌
青とか白の間を漂うように抜けて
浮かんでいるような曲
僕は知っています。

あれを弾けるとは羨ましい。

ポケモンの一戦を見学させてもらった他は
毎度僕は愚痴っているように思うが
早起きできないのだできないのだと語り
できるヒロトと生活習慣について話し
溜まったガスを
臭くはないから
発散させてもらう。ような有難さ
おならではない。

卵の作業に戻る彼
迎えに来る母