日曜市

天候不良は雨にまでならず、
母屋周りで始まっている所へ着く。
所定の位置は畑側の軒下で
大きなテーブルを持ってこよう。

そうだ、用意しておいた木板、
貰い物の長板がいくらかあったのを
小さなカンバス大に切って来た。

絵の具の水入れにたっぷりと張って
まだ使えるチューブを使ってくれ。

紙よりも堅く、強い
立体の一面に塗り始めれば、
際立つ白でなく
馴染む木色の新しさ。
雨は降り始める。
その粒に打たせて、何か跡を残せないか。
水彩の塗りに何百の水滴が落ちることを想像して
軒先から板を差し出す。
塗りの厚みもあるだろうか案外板に落ちぬ滴を待って
それでも思うほど乱れないという結果。
一滴の小ささや離れ離れの各滴を知る。

少しして土砂降りになる。

濃く強く混ぜ合わせる絵の具
時に透ける地色と乗りかかる新しい色
テンは紙に押して刷るスタンプ的要領。
イトは油絵だろうかという質感で筆毛先を残し
青と白の混ざりは晴れた雲気、明らかな空。

ミコはローマ字サインが得意である。
周囲に大きめのドットを配し、
偶然に寄り添った同色3玉の配置を面白がる。

ハルの極彩や、シーの少女
チワのストライプはアフリカンな色味
イトも木透けるオレンジ地に
紫のドット。

厚い絵の具を乾かせと、
所々に置き
この曇天の中

ひとしきり後
母屋の反対側
出店並ぶ納屋周りへ解散。
空腹の補充や、歩き回る発散

コーヒー屋の脇の大テーブルに陣取り
ワンピース談義。
そういえば、ヒロトが言っていた。
新刊の仕入れが少し遅れていると、
今しばらく待ってくれ。と
すまぬ、貸本屋。

さあ、元のテーブルへ戻ろうという動き
長椅子から押し出されるように、母屋の壁伝いに
絵描きのテーブルに行く。
角を曲がると
低く大きな座卓は陽を浴びて、
卓上の色とりどりの板、絵の具道具が
暖かく輝いている。
嗚呼、いい景色じゃないかと
思わぬ瞬間にしばし見つめ入る。

絵の色も何も実に輝いていたのだ。


雨は上がり、縄跳びが始まり、
ブランコには3人乗りの少女。

二重跳び、長縄
3組程の縄はそれぞれにそれぞれで
長さへの対応や材質への対応、
持ち手の蓋を開けて
結び目をどうのこうのして
最大まで伸ばす、
育ち来た子。

それがギリギリまで伸ばしすぎて
今度元どおりにできないという事件。
プラスチックに挟まれたゴムロープは
摩擦すごい、引っ張り出したいのに
端っこすぎて、持つとこ無い。
うああ、絶体絶命だ。
という現場がちらほら。

ペンチなり、根気なり
絶え間ない努力の甲斐あり
ついに、ついに
再調整。縄跳びの長さ

夕近くなれば、母屋の中から
彼らの声が聞こえる。
何をしているのか。

随分片付けてくれたから、
あとはテーブルなんかを元の場所に片付けて、
ブランコに乗る。