2/25 mild

カゴにお好み焼き、麺。

ふいに見下ろしてしまう開け放った戸の際で
立つヒロトの下げる昼食。

嗚呼これまたと早々食欲に接する午前。
机までは出せていなかったのを
いつものように拭いて運ぶ。

まあまあ手寂しさを紛らわすではないが
紙を出し線を走らせて話す。

期末試験の成果や、次年度の教科
テスト勉強に使ったページには暗記すべく
書き込んだ字面が並ぶ、そのノートに
何か描こうとしてつまづいたのち
口ずさむ音楽。
ピアノを貸して、とクラシック
近頃鍵盤熱が再興してきたらしく
かき鳴らす聞き覚えある古典
サビと言っていいのかよく聞くフレーズの
しかし前後もあるという当然の一曲を聞き流す
そこにある集中は微かなリズムやテンポの拍子を
静かに聴きながら腕へと伝えているに違いない。
そういった後ろ姿を時より見て
自分は絵を描いたりする。

もの足りない箇所の出来を嘆いたり
力の込もった肩が淡々と動き
ふいに終演する。

ブレスオブファイアが始まる。
それとなく登場するSWITCHに最近入ったRPG
紹介されながらコントローラを握る。
あゝたしかにドラゴンクエストに近く、
先達のヒロトにトリビアを聴きながら
その有意義な副音声付きで冒険を始めた。

躊躇なく人家に侵入し、タンスをあさる。
そういった犯罪的な側面をRPGではアイテム探しと言う。
もう隈なく何かありませんか。と
人の部屋で、そこに人がいるのに
タンスを調べる。

人に話しかけてみる。
あるいはそれがヒントかもしれない、という
匂わせる会話。ド直球の耳よりな情報。
暗に方向を示され、そしてそれに従ってやるものかと
コントローラを握る手の自由を謳歌する。
大仏の手のひらで遊ぶように
それでも未知の可動範囲を探すような
定まっているものごとの内側。
制約によって何か開花するだろうか。
果てしなくアンダーコントロール


バグを探すように重箱の隅をつつく。

ボリューミーなお好み焼きには
麺も入りモチも入り、
手製のソースとともに、さあ腹を満たし
満たされていく。

アフタヌーンもrpg。
ヒロトの経験を活かし、
ややカンニング的な指南を受け、
いそいそと、しかし
冒険には違いない。
初めての世界を歩いていた。